【Booklog】ぼくらの仮説が世界をつくる
今回はこちらの書評です。
▼ぼくらの仮説が世界をつくる
かつて講談社にて「宇宙兄弟」や「ドラゴン桜」を手がけて
大ヒットにつなげた編集者、佐渡島康平さんが書かれた本です。
佐渡島さんは、現在は「株式会社コルク」という
作家エージェント会社を立ち上げていらっしゃいます。
私がこの本に興味を持ったのは、
現在、科学教育に携わる仕事をしているため
科学的志向の基本とも言える「仮説」というキーワードに
目が止まったからでした。
以下、読んでみて面白かった点のまとめです。
・『世界は誰かが思い描いた「仮説」でできている』
この本で一番面白いのは、プロローグと第1章です。
プロローグにはこうあります。
『世界は、誰かが思い描いた「仮説」でできています。
(中略)
誰かが「こうなるはずだ」
「こうするとみんながハッピーになるぞ」
と思い描いた大胆な「絵」から、世界は作られていくのです。』
私自身、現在の仕事につく前は
メーカーで企画の仕事をしていましたから、
世の中に新しい価値を提供することを考えるのが仕事でした。
ゆえに、この世界は誰かが思い描いた仮説でできている、というのは
分かっていることではあったものの、
いざこうして文章にされると「ずいぶんゾクゾクするもんだな」と思いました。
本の中では、実際に著者が自らの仮説に基づいて
様々な漫画をヒットに導いていく様子が書かれていて、
大変興味深く読めます。
・前例主義に陥らないためには
「仮説」→「情報」→「仮説の再構築」→「実行」→「検証」
の順番が大事
佐渡島さん曰く、
『前例主義というのは、「情報」→「仮説」という順番で
ものごとを考えるときに起こるもの。
まずは仮説をたてて、その仮説が正しいということを実証するために情報を集める。
過去の数字を集めてきても新しいものは生まれない。』
今は、世の中に情報が多くあふれていて、
何かを始めるにも、つい情報ばかりを先に集めてしまい
頭でっかちになってしまうことがあります。
でもそれでは新しいことは生み出せない。
『過去の数字・データを鵜呑みにせず、
むしろ自分が普段の生活や仕事で感じていることを信じることが大切なのです。』
この言葉はしっかり胸に刻んでおこうと思いました。
また、この本でもう一つ面白いのは、
「編集者」という仕事について知ることができる点です。
私は、「本」が売れるか否かというのは、
単純に作家の才能で決まるものだと思っていました。
しかし、実際は編集者という存在がその本を「売れるようにする」ために
マーケティングやプロモーションを担っているんだ、という
その世界にいないと分からないようなことまで知ることができました。
そうすると、本好きの自分としては、
「誰かの仮説に乗せられて本を買っていたわけか!」
という発見がそこにもあって、とても面白かったです。
そして、最後に、この本を本当に自分のものにするためには
プロローグにあるこの言葉に対して、
しっかり答えを見つけなければなりません。
「さて、あなたの仮説はなんですか?」
これからの世界に何かを仕掛けたいと感じている人ならば
ぜひ読んでおくと良い本だと思います。
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