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2015-11-18

シンプルだけど難しいこと。


生まれて初めて戦争を見た時の衝撃を今でも忘れていない。
あれは中東の湾岸戦争で、小学校の先生が給食の時間につけたテレビに
ミサイルが放たれる時の閃光がキラキラと映っていた。

この世にまだ戦争というものが残っているなんて信じられない、
戦争を知らずに生まれ育った私はそんな気持ちで打ちのめされた。

2001年9月、友人と北海道旅行から帰ってきたその日、
崩れ落ちるニューヨーク貿易センタービルをテレビで見た。
この世のものとは思えない光景に、言葉もでなかった。
また世界が戦争に巻き込まれるのではないかという漠然とした恐怖に
涙ぐむしかできなかった。

そしてその10年後、2011年、社会人を捨てて私は放浪の旅に出た。

旅の終盤、マレーシアの語学学校で出会った中東出身の生徒が
「もうすぐ自分の国に戦争がやってくる」とぼやいたのを聞いて
頭を金槌で殴られたみたいな強い衝撃を受けた。

「もうすぐこの街に冬がやってくる」と言うのと
まるで同じような物言いだったから。

 

「世界はちっとも平和なんかじゃない」
1年半の放浪生活では楽しい刺激もたくさんあったけれど
帰国した私の心は、実際のところ「絶望」の気持ちで大きく占められていた。

幼い頃、世界はだんだんと平和になっていくんだと信じていた。
でも今は、現実はそんな簡単にはいかないということに薄々気付き始めている。

もし神という存在が本当にいるならば
それは私たち人間を愚かな生き物の群れとして眺めているのかもしれない。

 

人生は3つの世界でできていると思う。

五感で感じる世界
頭で理解している世界
そして心で感じる世界

五感で感じる世界とは、今この瞬間を生きる私に直接的に影響してくる世界だ。

たとえば電車が遅延して仕事に間に合わないとか、
夕食の時間に近所から魚を焼く匂いがしてくるとか。
直接的ではあるが、同時に狭い世界でもある。

頭で理解している世界とは、知ってはいるが感じることはない世界。
インターネット技術やSNSの発達によって、人々が頭で理解する世界は急速に広がり
そして頭で理解したことを示すことまでも容易になった。

数十年日本で生きた私にとって、世界のどこかで紛争が起っているのは
あくまで頭で理解している世界だった。
ところがそれは、あの時マレーシアで目の前にいた学生が
「もうすぐ自分の国に戦争がくる」というのを聞いた瞬間に
一気に心で感じる世界に変わった。
その瞬間のことを今でも鮮明に覚えている。
自分を取り巻く3つの世界の存在にはっきり気づいた瞬間でもあった。

 

フランスで痛ましいテロ事件が起こった。
世界平和を語る上では9.11に次ぐ21世紀最悪の節目になりそうだ。

亡くなった人の恐怖、無念さ、
愛する人を亡くした人々の悲しみ

私は心で感じられているのだろうか。
想像しても、足りない。

 

いかなる理由があろうとも
無関係の人の命を奪うことは悪であるということに異論はない。

でも一方で、この事実だけを一元的に、
そして短絡的にとらえてしまうのは危険なことであることのようにも思える。

何が彼らにそうさせたのか。
何が彼らを生み出したのか。
一体人間とはどれほどの悲しみがあれば、これほどまでに残酷になれるのか。
何より、すでにこれより前に中東では多くの人が空爆により犠牲になっている。

絶対悪で片付けることは容易いが、
真実の根を掘り起こそうとして歴史を紐解いてみると
それは想像以上に深いところにあるのだろう。

想像しても、うんと想像してみても、やっぱり足りない。

 

私にできることを考える。

この世界の流れのなかで
私に何ができるのか。

私には何もできない。

私は、たとえばグラニュー糖の一粒のように
この世界にとって小さな小さな存在だからだ。

それでも考える。
なんの影響力もない、こんな自分にできること。

この世界では多くの人が今を必死で生きている。
それぞれの立場で、それぞれの思いを抱えている。

私にできること。

それがあるとしたら、
日々の生活を当たり前のように送る傍ら、
ふとした瞬間に心で感じる世界を少しでも広げていくことしかない。

足りなくても、どんなに足りなくても、想像するしかない。

本を読んだり、ニュースを見たり、
旅ですれ違った人々を思い出すなどして。

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imagine all the people
living life in the peace

人類が平和に暮らす為に必要なことは
ジョンレノンが歌った歌のように
実はとってもシンプルなことなのでしょう。

しかしそれは同時に果てしなく難しいことでもあるようです。

このまま人類が間違った方向に進み続けないことを願います。
願うしかできない自分が情けないけれど、心から、願っています。




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